耳に障がいがあっても輝ける。
ダンスユニットSuginA
近年、聴覚障がいをテーマとして扱ったドラマや小説が話題になっている。
その内容の面白さはもちろんであるが、2025 年には、東京デフリンピックが決定しており、その機運醸成や認知度向上のためという役割も同時にあるのだろう。
しかし、コヤマドライビングスクールは、一過性のブーム的なものではなく、聴覚障がいを持つパフォーマーたちが輝く舞台を2004 年より、今年で 18 回も上演し続けている。
その名は、D'LIVE(ドライブ)、デフパフォーマーたちもそうではない人たちも一体となって楽しめる、「手話歌&ダンスライブ」である。出演者の中には、聴覚に障がいを持ったメンバーが 1 名以上在籍しており、手話歌やダンスなどを披露する。そういった出演者の個性はもちろんのこと、客層も健聴者や聴覚障がいを持つ人はもちろん、視覚障がいを持つ人など、多彩な客層が集う、まさに小さなダイバーシティである。
そして、コヤマドライビングスクールが主催するこのイベントは、チャリティライブとしての役割も兼ねている。実施することが、そのまま社会へ還元されていく。そんな一面も持つ、類希なライブだ。
一時はコロナによってその開催も中止せざるを得ない時期もあったが、2023 年より再びこのイベントは復活している。コロナの暗闇を切り抜けた先には、さらにパワーアップした十人十色の光が溢れていた。
今回はその中でも、若手女性 2 人組のユニット「sUginA」に話を聞いた。

Q.ライブを終えて今の感想をお願いします
梶本「とても楽しかったです。「6 年前にダンスサークルで知り合って、そこから練習をして、今日こうやって、ろう者のダンサーの存在を知ってもらえるのが嬉しいです。」
Q.このライブに出演しようと思ったのもそういった存在をもっと発信したいからですか?
梶本「そうです。」
Q.一人でなく二人でやる面白さや大変な点は何ですか?
麗華「二人ともヒップホップ、ジャズとジャンルが違うので、激しく踊るのとしなやかに踊るのと全く違うので、そこの全く違う良さをどう融合していくのかが難しいです。リズムとか細かい音を合わせていくのが難しいです。」

麗華さん
Q.手話やダンスなどのパフォーマンスを通して発信したいことは何ですか?
梶本「自分たちはろう者だけど、ダンスが好きだからダンスをしています。聞こえないから
音楽はわからないではなく聞こえないからこそ音楽やダンスを楽しんでます。」
Q.パフォーマンスの演出などは二人で考えているんですか?
梶本「二人で考えています。 」
Q.ダンスを覚える時は見て覚えるているのですか?
梶本「初めは見て覚えて、その後にリズムのためにカウントを使います。」

梶本さん
Q.ろう者でダンス経験のある人はどれくらいいるんですか?
梶本「結構います。でも部活にダンス部があるところは少ないです。学生時代はそれぞれバレー部と陸上部でした。」
Q.バレーや陸上の経験がダンスで活きたことはありますか?
麗華「やっぱり体力と筋トレの基礎は今のダンスに非常に生かされました。どちらも、ダンスにも大事なものです。」
Q.普段、ろう者でない人とコミュニケーションを取る上で大変なことはありますか?
麗華「今は殆どなくなりましたが、少し前まではみんなマスクをしていたので、口が見えないから大変でした。あとはダンスの練習の時とかテンションが上がってる時は早口になりがちなので、もう少しゆっくり話してもらえると嬉しいです。」

Q.このイベントの魅力は何だと思いますか?
麗華「ろう者の人がライブに参加しているイベントですが、ろう者だけでなく色んな人が楽
しめることだと思います。」
梶本「手話通訳士がいるので、音楽だけでなく見てもっと楽しめるし、色んな演出含めて情
報がたくさんあるとこです。」

Q.耳が聞こえない人でもステージに立ちたいと思う人は沢山いると思います。でも、なか
なか勇気が出ない人達が参加するにはどうしたらいいと思いますか?
麗華「まずは好きという気持ちが大事だと思います。本当に好きって気持ちがあれば不安や
恥ずかしいが勝つことは無いと思います。その気持ちを持つことが大事だと思います。」

Q.普段はお二人は仕事など何をしていますか?
梶本「今は休学中ですが、大学生です。」
麗華「私は普段はダンスの講師をしています。4 歳の子供がいてダンスと子育てを両立して
います。」
Q.将来、耳が聞こえない人でも社会で活躍していけるようになるには何が必要だと思いま
すか。
梶本「諦めないで努力することは必要だと思います。聞こえる人とはぶつかることが多いと
思うけど諦めずに自分の意見を伝えることが大事だと思います。」
麗華「聞こえる聞こえない関係なく、何事にも努力をすることは大事だと思います。耳が聞
こえなくても恵まれている人はいっぱいいます。逆に聞こえていても恵まれない人はいっぱ
いいます。だから人と比べないことが大事だと思います。」

Q.二人の将来の夢があれば教えてください!
梶本「私はプロのダンサーになって聞こえる聞こえない関係なく色んな人にパフォーマンス
を見てもらって、海外でも活躍できるダンサーになりたいです。」
麗華「誰かにとって希望になる人になりたいです!」
sUginA のおふたり、ありがとうございました!

今年もたくさんの観客で幕を閉じた D’LIVE。
2025 年の東京デフリンピックももう間近となっている今、このライブのさらなる進化に期待したいところだ。